パレード

パレード

これが現代に生きる若者の姿

次に紹介するのは吉田修一さんが原作を書いている同名作品である『パレード』を紹介して行きたいと思います。この作品のテーマとなっているのはずばり現代の若者達が持っている人間関係の希薄性となっています。現代の若者たちがいかに他人任せなところがあり、そして自分のことしか考えていないような行動を起こしているのかということを表現している内容となっております。タイトルとは中身からは想像も付かないような結末を迎えることになる作品を各業界から評価を得ることにもなり、また作中で表現されている若者達の姿に対しては共感を呼ぶなどの声も上がっていた。

ではそんなパレードのあらすじをご紹介して行きましょう。

あらすじ
都内の2LDKのマンションで、とある男女4人がルームシェアをしながら生活していた。そんなある昼下がりのこと、近所で起きた連続暴行事件のニュースを大学三年生の良助は、人気俳優と恋愛中のフリーター琴美が報道されているの見る。夜になれば映画会社に勤務している直輝と雑貨店で働いている傍らでイラストレーターとしても活動している未来が帰宅する。その日、4人はリビングに集まって話をするのは、良助の恋愛相談だった。中々に盛り上がって一段落つくと、それぞれが夜の日課、もしくは部屋にこもるなどして各々の時間を過ごすことになる。その一方で良助は片思いをしている相手に対して思いを伝えようかどうかということに悩みを募らせていた。そんな4人の生活にある変化が生まれる。
数日後のとある日、琴美は今に佇む金髪の美少年サトルと出会い、こんな密室空間で男女4人が暮らしているなんておかしいのではと疑問に思う悟に対して、琴美はネット内の掲示板にいるようなもの、嫌になったら出て行けば良いという話だと答えて見せたのだ。サトルは未来は酔っ払ったついでに連れ込んでしまったことがきっかけで、部屋に住みつくようになってしまう。それに対して連れ込んだ未来本人は、サトルが最近起きている暴行事件の犯人なのでは、と疑い始めるが直輝にはそんなことはないとして話を片付けられてしまう。
一方、隣の部屋が売春宿として利用されているのではと疑い始める良助は潜入操作を実行する。調べてみると、占い師が住んでいるということが判明した。良助はついでということで直輝の名前で占ってもらうことにしたが、結果は『あなたは変化を求めて世界と戦っているが、その戦いは世界が完全に有利』というものだった。これが何を意味しているのか、良助にはその時は分からなかった。そんなある日、遅めの出勤途中にサトルを見かけた直輝は、彼が暴行事件の犯人なのではという未来の言葉を真に受けてサトルを尾行することにした。ところが疑問が残るような行動ばかりであったが、悟るには確信めいたことは何も言えずに終わってしまうのだった。翌日、直輝が目を覚ますと、大切にしていたビデオを消去されたことからサトルをへから追い出せと、未来が怒鳴り込んでくるのだった。さらにリビングに出て行くと、琴美から妊娠を告白されて、そのことを恋人である丸山に伝えて欲しいと頼まれてしまう。また良助からも片思いの女性と付き合うことになったから、田舎に戻っては働きたいとの相談を受けることになる。直輝は自分は誰にも頼れる状況になのに、自分に頼ってくる周りの行動に愚痴をこぼすようになるのだった。

キャスト

  • 伊原直輝:藤原竜也
  • 相馬未来:香里奈
  • 大河内琴美:貫地谷しほり
  • 小窪サトル:林遣都
  • 杉本良介:小出恵介
  • 丸山友彦:竹財輝之助
  • 美咲:野波麻帆
  • 松園貴和子:中村ゆり
  • 貴和子の弟:波岡一喜
  • 正名僕蔵
  • キムラ緑子
  • 石橋蓮司
  • 三浦誠己
  • 深沢敦
  • 黄川田将也
  • 森下千里
  • 水崎綾女
  • 花井京乃助
  • 根岸清子
  • 石垣光代
  • 井村空美
  • 貞平麻衣子
  • 前田真里
  • 矢柴俊博
  • 桃瀬美咲
  • 山中敦史
  • 森崎ウィン
  • 大槻修治
  • 遠藤留奈
  • 三国由奈
  • 瀬戸夏実
  • 有村昆
  • 栗原美季
  • 北村真二

スタッフ

  • 監督:行定勲
  • 脚本:行定勲
  • 製作総指揮:青木竹彦
  • 音楽:朝本浩文
  • 撮影:福元淳
  • 編集:今井剛

作品について

これは現代の若者にある人間関係の希薄性をテーマにしているとしましたが、正直分かる気がします。舞台となっているルームシェアという部屋は、登場人物達にとって大事な居心地の良い世界であるということ、本当の自分をさらけ出すことはなくても、自分の嫌なことをさらけ出すことのできる場としては最高だ、という上辺だけの関係で満足することのできる場だ、といえばそんな場所や人間関係に思い当たる人もいるのではないでしょうか?そしてこれを意味するところ、現代のネット社会によって生まれた依存性の高い閉鎖的な社会環境の形成にも深く関わってくるでしょう。

人は常に安定しているところにいたいもの、もしその世界を壊すものが現れれば容赦なく排除するか、または強制的に調和させることを強要するといった行動に出るといった、まさしく現代の人間関係をよく表現しているということになる。

少しネタバレをすると、連続暴行事件の犯人はサトルではなく直輝なんです。彼は日ごろから溜まっていた鬱憤を晴らすように事件を起こしていたのですが、それもこれもルームシェアという世界に対してのストレスが関係していたのです。みんなから相談を受けることに強いストレスを感じるようになっていた直輝はジョギングを名目に夜外出して犯行に及ぶ、そんな生活を繰り返し行なっていた。そして彼はサトルが暴行事件の犯人では、という疑問に対してそれはないというが当然だ、犯人は自分だからだ。それでもサトルを尾行していたのは彼が今後あの閉鎖環境を壊すきっかけになるかもしれないとのことを考えて、その罪を擦り付けるためだったのかもしれない。

しかし直輝はサトルに衝撃的なことを聞かされる、それは直輝は暴行犯だということを未来たちが既に知っていて黙っているということだった。どうして黙っている必要があるとサトルに問いただすと、その答えとしては、あの空間を守るためにやっているということだった。その言葉に直輝は絶句する、自分は壊すためにやっていたのに同居人達は守るために犯罪を黙認していたというのだ。そして今後世界を壊すようなことをすれば、自分に対して何をされるか分からないということも思い知る。実感するのは劇中最後にある旅行の話だ、直輝が断ろうとすると全員が揃って『行くよね?』と無言の圧力をかましてくるのだった。

世界を壊すものには容赦をしない、それはどんな例外であってもそうだと言いたげだったが、これはどんな環境においても安寧の場を壊すものは許さないというになる。現在の10代の若者達はネット環境、SNSを用いて自分達の閉鎖的なコミュニティを形成して、自分たちが満足する世界を構築している。その世界の秩序を乱したものには制裁を繰り出す、それが現実の殺人事件に繋がってしまうのだ。この作品はそんな現代の闇を投影したような内容となっているので、非常に恐ろしくも共感してしまう複雑な内容となっている。現代の姿を見てみたいという人にはすすめたい、これが今の若者たちが持っている闇の姿だということを・・・・・・。